杉浦経営会計事務所 > 杉浦法務事務所 > 身元保証書はどれくらい有効?
新入社員との雇用契約時に「身元保証書」を提出させる意味、 有効性をはっきり分かっている会社は少ないのではないでしょうか? |
なぜ身元保証書は必要なのでしょうか?
身元保証書には「身元保証人」が必要です。
この身元保証人に社員が犯した仕事上のミス、トラブルなどの責任を負ってもらいます。
つまり損害が発生した場合の保険という意味合いがあります。
しかし、そもそも身元保証書の提出は法的な義務ではありません。
義務ではない書類をあえて提出させる理由は・・・
・会社に損害を与えない
・会社に迷惑をかけない
・身元保証人に対して迷惑をかけない
などを社員に認識させるためです。
例えば、銀行や証券会社などの金融業では横領などの防止のため、身元保証書は必須です。
ちなみに銀行内部では横領でクビになることは日常茶飯事で、信用問題になるので内部で抑える
ことが大半だそうです。
身元保証書に関して参考判例
(シティズ事件 東京地裁 平成11年12月) ・社員が身元保証書の提出を拒否 ・会社は「身元保証書は採用の条件」と主張 ・提出拒否により解雇 解雇に対し社員は不服とし、裁判を起こしたが地裁の判決は ・解雇は有効 ・社員としての適正を欠く というものでした。 |
社員が起こしたトラブルで損害が生じた場合、本人だけでは払いきれないケースに、保証人の存
在が有効です。ただし、身元保証人の保証する金額は損害額の全額ではなく、裁判所の裁決に
より一部減額されます。
これは本人の過失にもよりますが、雇用者である会社側にも管理責任が問われ、相殺されるため
です。
ちなみに、大手の会社では、本人の知らないところで勝手に保証人にされたと
いうことをなくすために、身元保証人の印鑑証明書付きで提出してもらうことが
大半です。
世の中が複雑になり、会社は常に新しいリスクを抱えています。
そして現場で働くのは社員です。当然予期せぬ損害が発生することもあります。
社員の重過失ということもあるでしょう。
そういう意味では、身元保証書は有効なのです。
もちろん、自由に行動させる大切さと社員への牽制効果のバランスが大切です。
いずれにせよ、リスクがゼロという会社は存在しません。
ですから「最悪の事態に備え、社員にも緊張感と責任感を持たせる必要が
あります。
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