先日、ある相続人さんから聞いた話です。 お父様が亡くなり(母はすでに他界)、相続人は、子である姉と弟でした。 お父様は先祖代々から引き継がれた土地が多くあったものの、原則、家が建てられない 調整区域の農地がほとんどで、他に預金が少々でした。 「小さい頃かわいがってくれた姉です。学生時代、恋愛相談をしたのも姉です。 その姉と相続のことで嫌な思いはしたくありません。」 と弟さんは言います。「農地はどうしますか?」と私が聞くと、「姉は要らないというし、 実家を継いだ私がお守りをするしかないでしょう」とのこと。 「それじゃあ、預金は出来る限りお姉さんに渡すようにして下さい。 いいですか、遺産分割でお姉さんに渡すいわゆるハンコ代は思った金額よりホンの少し 多目に提示して下さい。」と私はアドバイスしました。 後日、弟さんは、ニコニコしてみえました。お姉さんに話したら「『あんた、実家はそれでや っていけるの?』と聞いてくれたんですよ。」 その話を聞いて大変うれしく思いました。弟さんの気持ちが通じたのだと思います。 弟さんも、「これで『それだけ?」なんて、もし言われたら、ぶち切れたでしょうね」 と笑っていました。 |